大阪薪能
生玉神社で開催された「薪能」。
字の如く、薪に火を入れてその前で
能が演じられます。
夜の闇に浮かび上がる舞台、
薪の赤い炎が揺らめき、時折ちらちら舞い
能装束の美しさ、能面の白さと相まって
そこにお囃子が響き、
幽玄な世界をかもしだします。
神社という独特の空間。
どこからともなく聞こえる虫の音、
風のうなり声。
折りしも近づいていた台風の空気や雲の動きが
演目の「葵上」※
の嫉妬に苦しむ六条御息所の彷徨う生き魂に重なり、
丁度良い演出材料となっていました。
お能を外で観劇するのは初めてですが、
能楽堂のピンとはりつめた空気とまた違う
情緒があって良いものですね。
平成22年8月12日 赤松
※「葵上」
源氏物語「葵」巻を題材にした能の作品で、
源氏の正妻葵の上が病に倒れ、ご祈祷したところ
六条御息所が現れて般若となり、最後は成仏するというお話です。